2006年11月28日 08:20
他の商品とどう違うのか-差別化のポイント-(3)(マーケティング/出頭)
前回、以下のような図を使って
アメリカの政治家のポジショニングを行ないました。
縦軸の上側を市場経済、下側を福祉優先、
横軸の左側をハト派、右側をタカ派とすると、
アメリカの現職大統領ジョージ・ブッシュは市場経済派で、
かつ、タカっぽいので右上のB象限にポジショニングされ、
一方、2008年の大統領戦への出馬が有力視される
民主党のヒラリー・クリントンは、
福祉優先のハト派と目されるので
左下のC象限という、ブッシュの正反対にポジショニングされます。
■ポジショニングの活用法
ジョージ・ブッシュとヒラリー・クリントンは
正反対にポジショニングされましたが、
企業の場合は、競合品との差別化のために
意図的、能動的に競合商品と違ったポジショニングを取ろうとします。
同じポジショニングを取ると、顧客の取り合いが起きてしまうため、
大変な労力かかり、コスト上見合わないことが多いからです。
例えば、ベンツの最高級車が運転手つきの似合う
企業トップ向きの威厳ある車とするなら、
BMW7シリーズは自らが運転する
スポーティな高級車と言った具合です。
あるいは、アメリカや欧州の女優を使った
欧米ブランドのシャンプーに対して
アジアン・ビューティを謳うシャンプーといったものが挙げられます。
なお、競合と異なったポジショニングを取ることが
唯一のポジショニング戦略ではありません。
通常の場合は、差別化のために
正反対のポジションを取るのが一般的なのですが、
業界の断トツリーダーといわれる企業は時に、
競合企業が新発売した商品や少しヒットした商品と同じポジショニング、
すなわち同じ顧客層に向けた商品を出して
競合の動きを封じ込めようとすることがあります。
■ポジショニングで日本の政治を分析する
再び政治の話に戻りますが、
投票者、票田を奪い合う政党間の行為も企業戦略と同じであり、
共和党のジョージ・ブッシュと民主党のヒラリー・クリントンは、
正反対のポジショニングになっています。
日本もアメリカやイギリスのように
二大政党間で政権を争う姿が
望ましいとする声が大きいようですが、
ポジショニングの観点から見ると
そのプラス・マイナスは明らかです。
二大政党間では、敵対する相手との差異を際立たせるために
正反対のポジションを取ることになりがちです。
例えば、相手が一国行動主義なら国連主導、
憲法改正なら憲法擁護、市場経済に対して福祉優先、
小さな政府に対して大きな政府など、
政党間の政策の違いが際立ってくるというプラス面があります。
しかし、政党といっても人間の集まりですから、
全ての人が同じ意見を持っているわけではありません。
党の綱領や政策に心から同意していない人も多いはずです。
従って、政党が際立った方針を出せば出すほど、
党内に不況和音が生ずる傾向があるという、
マイナスの側面も指摘できます。
そのため、アメリカでは共和党も民主党も
党内の内部対立が激しいようです。
では、日本の政治をジョージ・ブッシュ、
ヒラリー・クリントンの例と同じように、
縦軸に市場経済と福祉優先、
横軸にハト派とタカ派と設定して分析してみます。
安倍首相は小泉前首相の市場経済主義を
引き継いでいるようですから縦軸の上になり、
ハト派かタカ派か、といえば、憲法改正に前向きで
自前の防衛力を持つことに積極的ですから、
タカっぽいといえるでしょう。
従って、横軸は右になります。
ブッシュと同じネオ・コンのB象限に属しますので、
引き続きアメリカとは良好な関係が堅持されそうです。
対する小沢代表の民主党はといえば、
格差を助長する市場経済主義に反対し、
福祉優先に傾斜していますし、
武力保持を正当化するための憲法改正に異を唱えており、
安倍首相とは正反対のポジショニングです。
日本でも政党内に不協和音が絶えないのは、
アメリカと同じ道理といえるでしょう。