2007年09月12日 08:00
シリコンバレーのベンチャー企業 : ScanR (ベンチャー企業/五十嵐)
■シリコンバーのScanR社
夏休みのお盆休みを利用して、
サンノゼを中心にシリコンバレーの
ベンチャー企業等約8箇所を回ってきました。
シリコンバレーでは、次々と
新しい試みに挑戦する会社が生まれており、
いつ訪問しても驚かされると同時に
刺激されます。今日はその中で、
「ScanR」という会社を紹介したいと思います。
この会社は
「スキャン」という名前の通り、
何かを読み取りそれをデータとする
サービスを提供しています。
コンセプト的には、
「スキャナーをいらないようにする」
ということですね。例えば、携帯電話で、
議事録や名刺などいろいろな画像を撮ります。
それをScanRのウェブサイトに送ると、
高精細にして送り返してくれます。
写真の撮影があまり上手いものでなくとも、
それをキレイに直して送り直してくれます。
例えば、私もよく
学生とディスカッションするときに
ホワイトボードに図や絵を描きますが、
それを写真で撮ると、
斜めから撮ったり蛍光灯の反射があったりと、
なかなかキレイな画像にはなりません。
それをScanR社へ送ると、
ほぼ正面から見た形にしてくれます。
図や文字もコントラストの精度の高いものに
してくれますので、それだけで
議事録として使えるというサービスです。
私も、昔名刺読み取り機を買って
データ処理しようと思ったのですが、
絵だとかマークがついていると、
文字の読み取りがうまくできません。
ScanRでは、これをスムーズにやってくれます。
■ScanRの経営者
私は、ファウンダー(Founder:創業者)に
会ってきたのですが、
その方の話はすごく面白かったです。
彼は、大学を出てインテルという大企業に入り、
ベンチャーキャピタル部門に配属になったそうです。
ある日、テーブルの向こうに
ベンチャーの社長がいて、こういう
ビジネスプランがあるのだけど、
お金を出してくれないかと言われたそうです。
それに対して、一生懸命にディスカッションをし、
投資をして、その結果、会社は上手くいき
シリコンバレーの山の上に豪邸を建てたそうです。
彼はそれを目の当たりにした。
ベンチャーの社長は、
同じビジネスをやったはずなのに成功して豪邸を建てた。
ところがインテルにいた彼が
どうだったかというと、ボスから
「この仕事終わったから次の仕事に移れ」と
言われたそうです。一緒に苦労をして
一緒の共感を持って仕事をしたにも関わらず、
彼はハッピーにならなかった。
社長の彼はハッピーになったのに、
大企業にいるとはこういうことかと思ったそうです。
それで彼はテーブルのこちら側ではなくて
向こう側に座ろうと思った。
これが元々の発想です。
ScanRのファウンダーは、
アメリカ人です。ただ本当に
WASP(ホワイト、アングロサクソン、プロテスタント)で
あったかというとそうでもない気もします。
アジア系の血も入っているかも知れません。
私はこれまで何人もベンチャーの社長に会いましたが、
中国系やインド系、あとベトナムの方など、
本当にアジア系の創業者は多かったですね。
■多くの中から成功するアイデアを選ぶ
また、ScanRのファウンダーに
チャンスや機会の発見について聞いてみました。
すると、いろいろなアイデア、こういう機会があり、
こういうビジネスチャンスが
あるのではないかということは、
常に考えていたそうです。
考えついたものを
そのままビジネスに移すのではなく、
思い立ったアイデアを自分の周り、
例えば自分の上司であった
ベンチャーキャピタルの人や、
投資の時にお世話になった
ヒューレッドパッカートの技術者、
そういった人間にどんどん聞いていったそうです。
そのとき、あるものは
「全然面白くないからやめたほうがよい」と
言われて、あるものについては、
「これをもうちょっとこういうふうに
アレンジしたらいいんじゃないか」
とアドバイスを受ける。
沢山のアイデアの中で、
はじめにダメじゃないかと
言われたものはその場で捨ててしまったそうです。
その中で、これは面白いのではないかと
いうものだけを、自分でブラッシュアップしていき、
今回のベンチャー企業のような形になったそうです。
日本であれば、
ファーストアイデアにしがみついてしまいますが、
彼らは沢山のアイデアの中から見極めて、
本当に成長するアイデアを選んでいることが、
よく分かりました。
前回までお話ししたように、
ビジネスをするときには、
沢山のアイデアをいくつ思いつくか
ということから考えないといけません。
日本人だと、どうしても4個か5個の中から
1つ選ぶという作業をしてしまいますが、
最初は次々に新しいアイデアを出すところから始まって、
ダメな物はすぐ切ってしまう。
正直なところ、会社を作ることは
今すぐにでも僕でも出来ます。
それが大事なことではありません。
いかにそういったアイデアで
ビジネスとして事業として大きくできるか
ということが大事です。ですから、
スタート地点で間違うのは良くないと思いますね。
■マーケットとしての日本
ScanRのサービスは
アメリカだけでなく、日本でも展開しています。
ウェブサイトから日本語で直接対応してくれています。
http://www.scanr.com/JA/
ところがこの10月から、
日本の携帯キャリアの1つ、
auとサービス提携をするということになっています。
10月になれば、
皆さんは一月315円さえ払えば、
いくらでも使えるようになります。
アメリカの場合、携帯電話は
まだまだこれからということになり、
デジタルカメラが主流となりますが、
日本の場合、ほとんどが携帯カメラと
いってよいほどカメラが付いています。
ですから、アイデア自体はアメリカのアイデアで、
1人のファウンダーが考えついたものを実現するために、
旧友のエンジニアを集めて
会社という形にしたのでアメリカで起業しましたが、
日本市場進出は初めから想定していたようです。
発想の中心はシリコンバレーであっても、
ビジネスは出来た瞬間から
グローバライズされていますし、
特に日本は大事なマーケットのようです。