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2006年12月04日 08:20

ハブ&スポーク・システムと超大型航空機の将来性(ロジスティクス/星野)

■ハブ&スポークによる輸送システム
ハブ&スポーク・システムというのは、
集めた貨物を一旦地域の中心にあるハブと
呼ばれる拠点に集約して、そこで仕分けをしてから
目的地に送り出す配送網のことです。
自転車のタイヤの中心にある車軸をハブと言います。
このハブからたくさんのスポークが出ている
自転車の形状と似ていることから
ハブ&スポーク・システムと呼ばれます。
このシステムを発明したのは、
FedEx(フェデラルエクスプレス)の
創業者のフレデリック・スミス氏です。
現在では世界の航空会社、
海運企業、あるいはトラック業者のほとんどが、
このシステムを採用して、独自のネットワークを構築しています。


航空会社で言えば、
全国からの旅客や貨物が比較的小型の航空機で
一旦成田空港や関西空港に運ばれて、
大型の航空機に乗り換えてヨーロッパや北米に向かうことになります。
例えば福岡空港からニューヨークまで、
現在直行便は運行されていませんが、
こうした国内のハブを利用することで、
毎日ニューヨークに飛ぶことが出来ます。


福岡であれば、韓国の仁川(インチョン)空港を
ハブとして乗り換えに使うことが出来ます。
つまり福岡とニューヨークの間の需要を考えると、
週に2便、3便の直行便が運行されるよりも、
乗り換えは発生するものの毎日行けるほうが、
より利便性は高いということになります。


別の例です。
例えば皆さんが東京の郊外に住む友人に
宅急便を送ることを考えてみて下さい。
荷物を自宅に引き取りに来る人と、
実際に目的地の友人に届けてくれる人は違います。
なぜならば、自宅に会社のバンで引き取りに来る人は、
福岡の拠点までだけを運んで、別のドライバーが
福岡から東京まで大型のトレーラーなどで輸送します。
そして東京の拠点からは、
また別のドライバーが最終的に友人の手元にバンで
宅急便を届けるとイメージしてください。
まさにスポークからハブに一旦運ばれて、
目的地の地域のハブに輸送された後に
スポークで最終目的地に運ばれるということになります。


■ハブ&スポーク・システムの利点
今でも福岡空港は、
九州内の例えば鹿児島から一旦福岡空港へ飛び、
ここから乗り換えて海外に行くという方法がとられています。
その意味では、福岡空港はすでに
小さなハブとしての性格を持っているということになります。


このハブ&スポーク・システムの利点は、
より広いエリアをカバーすることができること、
スポークの部分は需要に合わせて適切なサイズの
航空機やトラックに調整することができますし、
ハブとハブの間は大型の輸送機関で
輸送量を調整することで規模の経済性を享受できます。
例えば航空会社やトラック会社にしてみれば、
機材の運航や整備や貨物の仕分け施設を
集中的にハブに投下することで、効率性を高めることができます。
それが1970代の発明からわずか30数年にして、
世界の輸送機関がこのシステムを採用している理由です。


■「大型機の小頻度」か「中小機の多頻度」かの選択
先日、ヨーロッパのエアバスA380が
テスト飛行として、成田空港に飛来したとのニュースがありました。
今まで旅客や貨物の輸送において
最大規模であったボーイング747は、
アッパーデッキ(2階)の前方部のみが
2階建てになっていたのに対して、
エアバスA380は総2階の2段のデッキから成り立っていて、
標準で乗客555名を輸送することが可能です。


6月に超大型のコンテナ船が
博多港に入港したとことをお話したことがあります。
これもまさに拠点のハブとハブの間だけを
大型船舶が運航されることで
より経済効率を高めることを意図した戦略ですが、
今回のエアバスA380も同様の需要を期待して開発されています。


一方で、
このような超大型航空機が
拠点間に運航されることには異論もあります。
例えばボーイング社はまさにエアバスのライバル社ですが、
ここは真っ向から反対の考えをとっています。
超大型の航空機をハブとハブの間の
限られた数だけ運航するよりも、
今はむしろ中小型の航空機を多頻度で運航するほうが、
より顧客に求められているのではないかという考えです。


アメリカの大手の航空会社では、
ほとんどがハブ&スポーク・システムを採用していますが、
それに対抗してポイントからポイントまで
直行便を運航するサウスウエスト航空のような会社が、
乗り換えがないことから非常に業績を伸ばしています。

■これからの輸送システムの行方
もちろん
この航空会社の成功要因はそれだけが理由ではありませんが、
世界の輸送システムのデファクト・スタンダード(業界標準)ともいえる
ハブ&スポーク・システムは、そろそろ
見直しの時期に来ているということになります。
世界の2大航空会社ボーイング社とエアバス社のうち、
超大型航空機に企業の将来を託したエアバス社と
消極的なボーイング社のどちらの選択が正しいのか、
これからの市場動向が非常に興味深いといえます。

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