2006年12月11日 08:20
ロジスティクスの最近の傾向とリスク (ロジスティクス/星野)
今日は、ロジスティクスの分野における
最近の傾向をご紹介しながら、課題を簡単にまとめてみたいと思います。
今までの復習と考えてください。特にアウトソーシングと3PL、
サプライ・チェーン・マネジメントとジャスト・イン・タイム、
環境対応について触れたいと思います。
■物流業務のアウトソーシング
まずアウトソーシングですが、
他社に輸送、保管、在庫管理などの物流業務を委託することです。
アウトソーシングと言えば、
以前は単にコストを削減する目的での
下請業務のように捉えられていましたが、
現在ではより専門性のある業者に委託することによって、
付加価値性を高めるという目的もあります。
例えば、パソコン・メーカーに代わって、
顧客から発注を受けたディスプレイ、キーボード、
CPU、ソフトウェア、マニュアルなどを組み合わせて
一つに梱包して配送するという流通加工を行っている物流企業もあります。
別の例では、
メーカーの所有する物流倉庫を借り受けて、
そのメーカーの製品の在庫をより効率的に
より低いコストで管理し、顧客からの発注に対して
迅速に出荷する体制を構築することも行われています。
つまり物流企業がメーカーに代わり、
今まではメーカーが行っていた業務を提供するということになります。
■3PLの普及
今お話したような業務を
専門的かつ包括的に委託/受託することを
サード・パーティ・ロジスティクス=3PL(Third Party Logistics)と言います。
日本語では3PL(サンピーエル)と呼ばれていますね。
このようなビジネスの形態が日本に入ってきてから、
まだ10年も経ちませんが、アメリカでは製造業上位500社の内
7割近くがこの3PLのサービスを活用しており、
日本でも広く浸透しつつあります。
これらのロジスティクスの機能を専門の業者に委託することによって、
さまざまな付加価値やコスト削減も可能になりますし、
その分自社の強みのある部分、いわゆる
コア・コンピタンスにメーカーは注力することが出来ます。
一方で、他社にこうして委託してしまうことによって、
自社の持っていたノウハウや知識が空洞してしまうリスクも否定できません。
■サプライ・チェーン・マネジメントのリスク
次にお話する
サプライ・チェーン・マネジメントですが、
最近多くの企業では、原材料の調達から
製品の出荷までを効率的に管理する手法として
サプライ・チェーン・マネジメントの導入を図っていることは、
先々月にもお伝えしました。
それぞれのプロセスにおいて、
「必要なものを、必要なときに、必要なだけ」供給する体制です。
これを無駄なく時間どおりに、
まさに「ジャスト・イン・タイム」で管理する傾向が広まっています。
できる限り無駄な中間在庫を排除することで、
管理費や在庫スペースや原価の削減を目指しており、
キャッシュ・フローの改善にも繋がります。
しかしこれにも問題はあります。
なぜかというと、グローバルに調達した
原材料や部品を使って、海外や国内の製造拠点で生産し、
また海外の市場に出荷して最終的な顧客まで
安定的に送り届けるのは、容易ではありません。
サプライ・チェーンが、あまりにも長く複雑だからです。
ジャスト・イン・タイム、
あるいはリーン・プロダクションといわれる
可能な限り無駄を排除した考え方に基づいて
在庫を持たないということは、
様々な非常事態への対応力を欠くことにもなります。
例えば、地震や台風などの天災や、
政治的な対立や戦争、あるいはストライキがあると、
サプライ・チェーンの全ての流れがストップしてしまいます。
サプライ・チェーンが機能しなくなれば、
調達が止まり、生産自体がストップすることになりかねません。
■「利便性の追求」は「環境への負荷」と表裏一体
最後に、
ロジスティクスの環境対応についてお話します。
輸送は明らかに騒音や大気汚染を出し、
地球温暖化にも繋がります。
輸送用の容器が産業廃棄物を生み出すケースもあります。
少しでもそのような状況を低減するために、
大量輸送機関の利用を促進するモーダルシフトの傾向については、
8月に解説をさせて頂きました。
一方で私たちは誰でもコンビニエンス・ストアや
宅配便の利便性を享受しています。
コンビニエンスでは1日に6回から8回のトラック輸送が、
欠品のない商品の供給を支えています。
あるいは宅配便の隈無く張り巡らされた
サービス・ネットワークが、この便利な配送を可能にしています。
そうすると、利便性と表裏一体で環境への負荷があるということになります。
今日は最近の
ロジスティックスの分野の傾向を説明しました。
私たち消費者の求める「より安く、より早く、
いつでも、どこでも商品が手に入る」ということ、
これを支えるシステムは、一方で多くのリスクと無理を要求していることも、
私たちは十分に理解する必要があるのではないかと思います。