2007年06月19日 07:40
シリアルアントレプレナーに学ぶ起業プロセス(ベンチャー企業/五十嵐)
成功する起業家というのは、
生まれながらの才能によるものでしょうか。
それとも、生まれた後に習得した能力によるものでしょうか。
みなさんはどう思われますか?
今日はそのお話をしたいと思います。
■企業家のためのワークショップ
まず少し宣伝をさせていただきますと、
6月13日東京で
大きめのワークショップを企画しました。
「シリアルアントレプレナーから学ぶ起業プロセス」というテーマで、
メインスピーカーは、
イーアクセスといった通信会社を立ち上げられた
千本倖生会長です。
加えて、日本ベンチャー学会や、
経済同友会にご支援いただきまして、
学会長の松田修一先生や、
前経済同友会の代表幹事である
北城恪太郎さんをパネリストとしてお招きします。
何度かシリコンバレーのお話しをしていますが、
シリコンバレーの起業の事情に詳しい、
校條浩さんにも来ていただき、
最初に述べたテーマについて議論していただくことにしました。
講師の交渉から会場の手配まで、
すべて私がコーディネートをしました。
同友会から後援名義を頂くことが
非常に大変でしたが。
しかし後援名義の有無のインパクトには大きな違いがありますから、
随分、努力したわけです。
大学の中に引きこもっているだけでは
現実世界との接点が乏しくなりますから、
こういった機会を作り、現場感覚を失くさないように、
実際に自分でビジネスに携わるように勤めて
その経験を学生の皆さんにフィードバックしたいと考えています。
■起業家教育の問題点
今回セミナーを企画した背景には、
次のような事情があります。
最近、大学やビジネススクール、
あるいは社会人向けの教育講座で、
「起業論」、「ベンチャー企業論」といった
講座が開講されてきています。
私から見れば、上手なビジネスプランの書き方教室であったり、
成功した起業家の成功物語、
あるいは成功事例をみんなでなぞろうじゃないか
というような物ばかりのように見えるのです。
それでは、ビジネスプランが上手く書けたら
本当にビジネスが成功するのかという疑問が生じてきますし、
誰か著名な企業家、例えば松下幸之助の半生をなぞったら、
自分でベンチャー起こすときに上手くいくのかと、
そうではありません。
そこで冒頭の質問に戻ります。
もし、成功する起業家の才能が天賦の物、
生まれ付きの能力であったり、
全てが幸運かラッキーの連続の賜であったとしたら、
「起業家教育」では、何を教えることが求められるのでしょうか?
生まれつきの才能だと言うのであれば、
才能ある起業家予備軍を如何に発掘するかを考えればいいし、
もしも幸運の所産であるとしれば、
宝くじの正しい当て方みたいな事を、
真剣に探した方が上手くいくかも知れません。
これでは、教育は必要ないということになります。
教育をするということは、
学習して努力して、
学習する前よりも学習した後の方が、
成功の確率が上がるというふうにならなければ
教育の意味はありません。
そこが起業家教育で大事なところだと思います。
■シリアルアントレプレナーに学ぶ
欧米では起業家研究は盛んに行われています。
それはどういったものでしょうか。
一口に、成功した起業家と言っても、
こういう言い方は失礼ですが、
「一発屋」、英語でも「ワンショットアントレプレナー」
という言い方があるわけですが、
一回だけ成功するのであれば、
もしかすると天賦の才能や幸運の賜物だったと
考えられるかも知れません。
そこで、欧米の研究者は、
「シリアルアントレプレナー」だとか「リピートアントレプレナー」と
称される何回も何回も起業をして、それを成功に導く起業家に、
注目しています。
以前にお話ししましたように、
起業して5年以内に生存している確率は20%です。
もしも3回起業して、3回とも生き残っているとすると、
20%×20%×20%ですから、0.8%となります。
ということは1,000人に8人しか生存しない計算になります。
ところが、実際にこのような起業家が存在します。
このような起業家を見てみると、
成功する可能性は、1回目より2回目、2回目より3回目のほうが上がっているし、
成功の大きさも大きくなっている様に見えます。
そこからは、考えてみますと、
1回目を通じて何らか得る物がある。
それを2回目で活かすことが出来るから
2回目の成功の確率が上がって、
次の3回目は、1回目に加えて2回目の経験を元にして
やっていると説明できるわけです。
これは「一発屋」の起業家と異なり、偶然の余地を随分排除できます。
ですから、シリアルアントレプレナーが経験を積んで学習したものを、
整理し体系化することによって、
「教育プログラム」に出来ないか、
という取り組みが大切になります。
■これからの起業家教育
起業家教育として、繰り返し成功している起業家の
学習効果を学んでもらうわけですが、
例えば、起業機会の発見や識別を例にとると、
次回に詳しくお話しさせていただきますが、
起業機会があって、
初めてビジネスとして成功する訳なのですが、
これは不思議なことでして、
ある人には起業機会の存在が認識できて、
他の人には出来ない、ということがよくあります。
ということは、何故、シリアルアントレプレナーは、
何度も起業機会を見つけることが出来ると言うことになります。
経験を積めば積むほど、
起業機会を見つけることも上手くなる、
ということが言える訳ですね。
他の人に見えない物が、
何回も起業した人には見える。
その背景で何があるのか、
何が、そうさせるのか、
これはやった人にしか分かりませんので、
是非とも5回起業した千本会長に、
お話を聞ければと言うのが元々のきっかけです。
それで今回、6月13日にセミナーを企画しました。
特に、日本でも2000年前後から、
ベンチャーをやらなきゃいけないんだ
という方向性が確立してきました。
大学発ベンチャーも1,000社を越えました。
ベンチャーが数多く誕生するようになった今日、
第2フェーズへの移行が必要になって来ています。
すなわち、成功するベンチャーの確率を上げることです。
その為にはやはり、起業を決意している方々に、
起業のノウハウのような物を上手く伝えることによって、
起業成功の確率を上げてあげる
というのが必要なことだと思います。
ぜひとも、成功するベンチャーがたくさん現れて、
日本を変えて欲しい。
そのためにも、今回のような企画を通じて、
共に考える機会を提供していきたいと考えています。