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2007年10月16日 07:40

産学連携の幅広いカタチ(1)(高田/産学連携マネジメント)

“産学連携“と聞くと、
多くの人は理系の研究成果
(その多くはハイテクと呼ばれる)を
企業が製品やサービスに活かすことを
イメージされるかもしれません。


しかし、そもそも大学は
“ユニバーシティ“と名が付くくらい
多様な知の集積体であり、
企業や地域社会との接点も
もっと幅広いものです。
いくつか、ユニークな取り組みを
紹介してみたいと思います。


(1)経済学・経営学の産学連携
8月6日付けの日経新聞では、
東京ガスなどと
明治大学ビジネススクールとの間で
ERMと呼ばれる
企業リスクマネジメント手法に関する研究が
開始されることが紹介されています。
企業活動において
リスク管理の重要性は増しているが、
この事例で企業側の担当者が
大学と連携するポイントとして、
「各企業の取り組みを一般化するためには、
研究や学術的理論が欠かせない」と
述べています。
また、同じ記事で、
東京工業大学と某大手銀行とが
共同開発中の為替売買システムについても
触れられています。
売買取引のタイミングを
見出すためのシステムで、
このシステム開発には
“経済物理学”という
社会現象の背後にあるメカニズムを
解析する学問が活かされているといいます。
また、企業が大学人を
監査役や取締役に迎えるケースも増えています。
記憶に残る事件として、
1999年に一橋大学教授だった中谷厳氏の
ソニー取締役が認められず
結果的に大学を去ることになった事があり、
その後、2000年には国立大学教員が
民間企業の役員を
兼業することができるようになりました。
その結果、国立大学が法人化する
直近の平成15年度の兼業状況は、
TLO役員への兼業が53名、
大学発ベンチャー役員への兼業が270名、
監査役兼業が16名、といった具合に急増しました。
ちなみに、平成16年4月に
国立大学が法人化されたことにより、
国によるこれらの数字の公表自体も
なくなってしまいました。
企業活動を研究者の立場から分析し、
一定の理論を導き出し、
それに基づいて将来の方向性を見出したり
示唆を与えたりするために、
企業が大学を活用することは、
今後さらに進展するだろうと思われます。


(2)デザイン分野の産学連携
8月24日の読売新聞によると、
金沢美大が学生による製品デザインについて、
既に11社と契約し、
契約料が2,700万円に達したそうです。
2005年の契約額が800万円なので、
急増といえます。
この背景について、金沢美大の関係者は、
「企業側の商品開発はデザインを重視する傾向があり、
ターゲットユーザーとしての発想を持つ
学生のアイデアが有効」と見ているようです。
韓国のLG電子は、金沢美大、
武蔵野美大、千葉大と組んで
携帯電話端末のデザイン開発に
取り組んでいるとか。
“Japan Cool“ということで、近年、
日本のアニメやデザインなどが
注目されるようになっています。
ただし大学からすると、これらの活動は、
“デザインでカネを稼ぐ”ことが目的ではなく、
あくまでも教育の一環であり、
学生にとって自分のデザインが
社会で通用するのかを挑戦するところに
意味がある、といいます。
九州大学でも、
芸術工学研究院(旧芸工大)が
大川地域の家具づくりに協力したり、
ユーザーサイエンス機構が熊本県と組んで
「ユニバーサルデザイン」(UD)の理念を
中心に据えた地域づくりに協力したりしています。
デザイン分野の大学院は、
全国にそう多い訳ではないので、
そのような大学院を持つ大学は
地域で特徴的な産学連携活動を
展開できる可能性があり、
大いに期待したいところです。

次回は、なぜこのような
幅広い産学連携が加速しているのか、
解説を続けたいと思います。

(産学連携の幅広いカタチ(1))MP3ダウンロード

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