2007年10月31日 08:00
中国のビジネス・スクール (国際経営・国際ロジスティクス/星野)
■中国のビジネス・スクール
この夏は、上海、大連、北京などにある
中国のビジネス・スクールや、
カナダの大学を毎月のように訪問していました。
訪問の主な目的は、ビジネス・スクール間での
学生同士の交流や交換留学といった
提携を強化することでした。
特に、現在九州大学ビジネス・スクール(QBS)は、
中国のビジネス・スクールとの
提携の強化に努めているところです。
中国のビジネス・スクールは、
目覚ましい勢いで成長しており、
多くの学生をひきつけています。
中国のビジネス・スクールは、
日本よりも少し遅れて開設されました。
中国における本格的な始まりは、
1980年代の後半に大連にある大連理工大学が、
アメリカのニューヨーク州立大学と提携して
ビジネス・スクールを開設したこと
といわれています。
それ以前にも、香港には
数校のビジネス・スクールがありましたが、
中国本土での正式な開設は
これが始まりのようです。
その後、
中国国務院教育部は1991年ごろから、
高度な専門性をもって
グローバル化に対応できる
人材を育成するために、
MBA教育に本格的に取り組み始めました。
北京大学光華管理学院、復旦大学管理学院、
清華大学経済管理学院など、名門の大学に
ビジネス・スクールが導入されたのはこの頃です。
その多くは、
欧米の著名なビジネス・スクールと提携しながら、
「ケース・メソッド」を中心に、
マネジメント教育の充実を図っています。
例えば、
理工系の名門である清華大学は、1996年から
マサチューセッツ工科大学(MIT)と提携し、
後にハーバード・ビジネス・スクールとも
提携しています。
■日本に先行する中国のビジネス・スクールのプログラム
日本におけるビジネス・スクールの始まりは、
1978年の慶応ビジネス・スクールの設立です。
日本でも、多くのビジネス・スクールが
欧米流のプログラムを取り入れており、
慶応ビジネス・スクールでは開設時から
ハーバード・メソッドを導入していました。
こうした点については、
日本と中国のビジネス・スクールは
類似しているといえます。
しかし、中国では日本よりも10数年遅れて
ビジネス・スクールがスタートしたにも関わらず、
「重点化」の施策を打ち出した後は、
非常に進行が早く、一気に充実したプログラムを
作り上げてしまいました。
この点は、非常に中国らしいところだといえます。
例えば、
一般的にビジネス・スクールでは、
職務経験があり、年齢が20代の比較的若い
学生を対象としていますが、
企業のより上級の管理者を対象とする
Executive Master of Business Administration(EMBA)
というコースがあります。
ビジネス・スクールは通常2年間のプログラムですが、
EMBAではより短期間で集中的に教育が行われます。
EMBAは、
アメリカのビジネス・スクールでは一般的であり、
かつ、それぞれのビジネス・スクールの
大きな収益源にもなっています。
日本のどこの大学も、
EMBAを導入したいと考えていますが、
未だ実現には至っていません。
しかし、中国ではいち早く、
2002年9月から、清華大学、北京大学、中国人民大学、
復旦大学などの30の重点大学において、
こうした企業の上級管理職対象の
プログラムがスタートしています。
この動きは、
中国が日本よりも先行しているところです。
アメリカやカナダはもちろんですが、
中国のビジネス・スクールを
訪問していて強く感じるのは、
学生がMBAを取得することを、
自分への投資と考えていることです。
つまり、2年間の時間と学費と生活費を投資して、
それらをMBA取得後に回収するという考え方です。
中国では、一般的にMBA取得者の給与は、
同年齢の人の数倍から数十倍といわれています。
彼らは、投資の回収がしやすく、
MBAの重要性を認知している
欧米などの外資系企業に
職を求めることになります。
■QBSのアジア諸国の大学との提携強化
ところで、先ほども少しふれたように、
中国のビジネス・スクールは、
海外のビジネス・スクールとの提携を
積極的に推進しています。
例えば、
上海にある復旦大学のビジネス・スクールでは、
学生の3分の2が2年間の在学中に、
海外の提携校で1学期を過ごすようです。
QBSは、アジアビジネスを特色としているため、
こうした中国の大学との提携を重要視して、
学生間の交流や交換留学を
充実させているところです。
現在も、
「アジアビジネス教育国際コンソーシアム」(ICABE)
に基づいて、上海交通大学、東北財経大学などから、
6名の学生が交換留学で福岡に来ています。
昨年は、QBSからも上海交通大学や復旦大学に、
3名の日本人学生を送り出しました。
今後の展開として、
QBSは中国以外のアジアの他の国々、
韓国、タイ、香港、フィリピン、
シンガポールなどの大学とも、
提携の強化を進めていく方針です。
お互いにクロスカルチャーの経験をすることは、
交換留学生当人だけでなく、
学生全体にとって、非常によい刺激になります。
また、また教員にも、
異なる世界を知る機会ともいえます。
実際、私の担当する講義では、
中国からの留学生の積極的な発言が目立ちますが、
私自身にとっても
本当によい刺激になっています。