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2007年11月06日 07:40

イノベーションプロセスの複雑性(イノベーション/永田)

前回、イノベーションの予測を困難にする
イノベーション・プロセスの複雑性について
説明しました。
その際、研究開発は
目的を持って行われている場合でも、
その過程で思いがけない新技術を
生み出す場合があること、
またいかに優れた性能、機能を
提供する新技術でも、
その普及が妨げられる場合があること、
について述べました。
今回は、これらの要因について、
具体的な例を挙げ、
技術経営の課題について
論じてみたいと思います。


■Post It Note Pad
思いがけない発明の例として、
3M(Minesota Mining and Manufacturing)の
Post It Note Padを取り上げてみます。
Post Itに使用されている粘着剤は、
粘着性ポリマーに関する
公式の開発プログラムに参加した
研究者によって発見されたポリマー物質です。
当初、この物質は「質の悪い粘着剤」
という烙印を押されていましたが、
その研究者は応用方法に関する探索を続け、
後にコマーシャルテープ製品の
事業部に働きかけました。
そこで編成されたチームのメンバーが、
栞に粘着剤を付けることを発想し、
ヒット製品を生み出すに至ったものです。


3Mには、自分の勤務時間の15%以内で
興味のある対象を扱うことを許容する
15%ルールがあります。
また、アイデアを殺してしまうことを
戒めることもルール化されています。


このようなイノベーションの事例では、
新技術と市場ニーズのいずれが
決定的な要因であったのかを判別し難いのです。
むしろ、新技術に対する独自の解釈が
イノベーションの方向を決定したものと
見ることができます。
言い換えれば、解釈の多様性を
生み出す視点が重要であるということです。


■QWERTYキーボード
イノベーションの普及過程に関する複雑性を
理解するための例として、
QWERTYキーボードを取り上げます。
これは1873年に
クリストファー・ラータム・シュールズによって、
タイピストがタイプするスピードを
遅くするために設計されました。
当時、隣り合わせた二つのキーが
急速に連続して打たれると、
活字棒が動かなくなるという問題がありました。
これに対し、ワシントン大学の
オーガスト・ドボラク教授は、
1932年に時間—動作研究をふまえて、
効率的なキーボードを設計しました。
ホームローにタイピングの70%をしめる文字
(母音など)を配置し、
その他は上下の列におきました。
また母音は左手側に、
子音は右手側において
両手打ちのリズムが早められました。
一方、QWERTYでは左手が57%を
タイプしなければなりません。


しかし、ドボラク・キーボードは
合衆国標準制度が採用を認めたにも関わらず、
普及しませんでした。
QWRTYキーボードの製造業者、
タイピングの教師、タイピストの既得権益により
古いデザインが固守されたからです。


■経路依存性
このように初期段階での技術選択が、
その後の技術進歩の方向を規定してしまう傾向は、
経済学者によって経路依存性と呼ばれています。
新しい技術が発明され、
それに対する潜在的なニーズがあるとしても、
技術進歩が経路依存的な方向性を持っていると、
既存の技術に代替できないこともあるわけです。
このような現象については、
もう1つの説明の仕方があります。
例えば現在使用されているパソコンのOSには、
広く普及した事実上の標準があります。
ここで他社によって仕様の異なる優れたOSが導入されても、
その新しいOSをユーザーが採用しようとすると、
従来のOSの上で使われてきた
様々なアプリケーションに基づく文書等に
互換性が確保されていないと、
切り替えに相当のコストがかかります。
OSのように、普及するほど
それを使用することに伴う利益が増大する製品は、
ネットワーク外部性を持つと言われます。
このような製品では
一般に切り替えコストが高くなるため、
より優れた製品が実現したとしても
簡単に従来の製品に代替することができません。
新製品を実現した企業としては、
自社製品を従来の支配的な製品に置き換えようとするならば、
当初は相当に低価格で販売しなければなりません。
もし知的財産制度が発明に強い権利を保証してくれるならば、
ある程度自社製品が普及した段階で、
コストを回収できる見込みが立つかもしれません。


思いがけない発明の例として、
3M(Minesota Mining and Manufacturing)の
Post It Note Padを取り上げてみます。
Post Itに使用されている粘着剤は、
粘着性ポリマーに関する
公式の開発プログラムに参加した
研究者によって発見されたポリマー物質です。
当初、この物質は「質の悪い粘着剤」
という烙印を押されていましたが、
その研究者は応用方法に関する探索を続け、
後にコマーシャルテープ製品の
事業部に働きかけました。
そこで編成されたチームのメンバーが、
栞に粘着剤を付けることを発想し、
ヒット製品を生み出すに至ったものです。


3Mには、自分の勤務時間の15%以内で
興味のある対象を扱うことを許容する
15%ルールがあります。
また、アイデアを殺してしまうことを
戒めることもルール化されています。


このようなイノベーションの事例では、
新技術と市場ニーズのいずれが
決定的な要因であったのかを判別し難いのです。
むしろ、新技術に対する独自の解釈が
イノベーションの方向を決定したものと
見ることができます。
言い換えれば、解釈の多様性を
生み出す視点が重要であるということです。


■QWERTYキーボード
イノベーションの普及過程に関する複雑性を
理解するための例として、
QWERTYキーボードを取り上げます。
これは1873年に
クリストファー・ラータム・シュールズによって、
タイピストがタイプするスピードを
遅くするために設計されました。
当時、隣り合わせた二つのキーが
急速に連続して打たれると、
活字棒が動かなくなるという問題がありました。
これに対し、ワシントン大学の
オーガスト・ドボラク教授は、
1932年に時間—動作研究をふまえて、
効率的なキーボードを設計しました。
ホームローにタイピングの70%をしめる文字
(母音など)を配置し、
その他は上下の列におきました。
また母音は左手側に、
子音は右手側において
両手打ちのリズムが早められました。
一方、QWERTYでは左手が57%を
タイプしなければなりません。


しかし、ドボラク・キーボードは
合衆国標準制度が採用を認めたにも関わらず、
普及しませんでした。
QWRTYキーボードの製造業者、
タイピングの教師、タイピストの既得権益により
古いデザインが固守されたからです。


■経路依存性
このように初期段階での技術選択が、
その後の技術進歩の方向を規定してしまう傾向は、
経済学者によって経路依存性と呼ばれています。
新しい技術が発明され、
それに対する潜在的なニーズがあるとしても、
技術進歩が経路依存的な方向性を持っていると、
既存の技術に代替できないこともあるわけです。
このような現象については、
もう1つの説明の仕方があります。
例えば現在使用されているパソコンのOSには、
広く普及した事実上の標準があります。
ここで他社によって仕様の異なる優れたOSが導入されても、
その新しいOSをユーザーが採用しようとすると、
従来のOSの上で使われてきた
様々なアプリケーションに基づく文書等に
互換性が確保されていないと、
切り替えに相当のコストがかかります。
OSのように、普及するほど
それを使用することに伴う利益が増大する製品は、
ネットワーク外部性を持つと言われます。
このような製品では
一般に切り替えコストが高くなるため、
より優れた製品が実現したとしても
簡単に従来の製品に代替することができません。
新製品を実現した企業としては、
自社製品を従来の支配的な製品に置き換えようとするならば、
当初は相当に低価格で販売しなければなりません。
もし知的財産制度が発明に強い権利を保証してくれるならば、
ある程度自社製品が普及した段階で、
コストを回収できる見込みが立つかもしれません。

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