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2007年12月07日 07:40

混合診療(財務戦略/村藤)

今日は混合診療についてお話したいと思います。
まずは、いったい何が問題になっているのかをご説明しましょう。


■混合診療をめぐる争い
混合診療というのは、保険がきく保険診療と、
保険がきかない自由診療とが
混ざっている診療のことをいいます。
厚生労働省は、保健診療はいいのですが、
自由診療というものを目の敵にしていて、
これが混ざっていると、
本来であれば保険が適用される
保険診療部分にもお金を払いません。
すなわち、たとえ保険診療部分があっても、
全部を自由診療と見なして、
患者さんが全額支払わなくてはならない
という制度にしています。
このことについて患者側や経済界が怒っていて、
ここのところ少し争いが起こっていたのですが、
このあいだ11月の初めに東京地裁でその判決が出ました。


この裁判で争っていた患者さんは腎臓ガンなのですが、
インターフェロン療法と、
活性化自己リンパ球移入療法と、
この2つを受けていました。
このうちインターフェロン療法というのは
保険が適用になりますので、
保険からかなりお金を払ってもらえます。
ところが、活性化自己リンパ球移入療法というのは、
まだ厚生労働省が認めていない、
保険が適用されない自由診療だったのです。
患者側としては、インターフェロン療法の方には
保険適用してもらえれば何とかやっていけるものが、
活性化自己リンパ球移入療法を受けたということで、
インターフェロンも自分で払えと言われてしまうと、
一月あたり25万円くらい払わなければならない
という話になりますので、普通の人ではやっていけません。


■東京地裁の判決
保険の適用を、認められている方だけでも
認めてあげればいいのに、
何故それが出来ないのでしょうか。
我々一般人には理解できませんが、
それを認めると自由診療を認めることにつながる
というのが厚生労働省の理屈です。
厚生労働省的にいうと、
認可していない自由診療を施すのはけしからん、
保険診療だけやれということでしょう。
混合診療の場合も、
自由診療が混ざっているからけしからん、
そんなことをする人には
保険を適用してやる必要はないということで、
保険は払わないという立場なのです。


それに対して東京地裁は、
保険適用部分について保険を払うのは当然である、
という判決を下しました。
日本は一応、三権分立ですから、
立法、行政、司法の三者が戦った場合に、
誰が勝つかというと、
法律を守っている司法が勝つということになっています。
これはある意味で、
司法が行政に向かってコラッと言ったというわけなのですが、
厚生労働省はどうも、
裁判所は分かっていないというふうに言っていて、
また控訴する姿勢のようです。


■改革派と混合診療
今度の判決は東京地裁で、
まだ最高裁までは行っていませんので、
高裁、最高裁と行って、
これからどうなるかというところです。
しかしながら、東京地裁がやっと
混合診療で保険診療部分に
お金を払いなさいと言ってくれましたので、
規制改革会議という内閣府に設置された
内閣総理大臣の諮問機関があるのですが、
これに乗じて戦おうとしています。
というのも、小泉さんをはじめとする改革派は、
いままでも、厚生労働省が混合診療の保険部分を
支払わないのは許せないと、
長年戦ってきているのです。
今回ついに東京地裁が味方についてくれたというので、
規制改革会議で12月に公表する予定になっている
第2次答申では混合診療の全面解禁を掲げています。
それで現在は「規制改革会議」対「厚生労働省」の
大きな戦いになってきているという状況です。


厚生労働大臣が、桝添さんに代わってからは、
やるべきことはやらないといけないだろうということで、
いろいろと改革を進めようとして、
だいぶ幅広く柔軟に対応するように
なってきているようにも見えます。
しかしながら、厚生労働省的に言うと、
医療法人しか医療をできないことと、
混合診療の中の自由診療を認めたくないので、
混合診療と言ったら保険診療部分は
絶対にお金を払わないことの、
この2つは神学論争的に絶対変えない
と言っている点なので、
いくら桝添さんが厚生労働省のお役人の頭を叩いても、
簡単には変わらないという代物なのです。


■厚生労働省の言い分
厚生労働省はいろいろと審査をして
国民の安全を守っているわけで、
厚生労働サービスについては責任を持たなければなりません。
確かに、国民の安全について何か起こると
彼らは非難される立場にあります。
そういう意味では、非難されたくないから
混合診療の普及を避けたいということもあるでしょう。
自由診療というのはまだ認めていないものですから、
そんなものをやられても責任が持てないので困る、というわけです。
国民の安全を守る立場としては、
安全とまだ認めていない診療行為はやるなというのが、
自由診療反対の厚生労働省の立場なのです。
そういう意味で、自由診療は、
厚生労働省にとってはまだ認めていない敵で、
国民の安全を脅かす物だというふうに思っているわけです。


■医者の立場から見た混合診療
それでは、一方で、
医者の立場からするとどうなのでしょうか。
医者も悩ましいところで、
医者としても健康保険の適用範囲を広げてほしい
という部分はあります。
サービスの範囲が広がり、
患者さんも来るようになりますから。
そういう意味では、厚生労働省の言っていることが
理解できないわけではないものの、
突然、自分の患者が癌で、
インターフェロンだけではなくて
自由診療もあるのが分かっていて、
両方やらなきゃまずいというときに、
患者さんにお金がなくて、
保険診療部分に保険を適用してあげないと
やっていけないのではないかと思うと、
お医者さんは患者さんになんと言っていいか
困ってしまうでしょうね。
実際は、混合診療ということになると、
厚生労働省のいうとおり、
お金を取り立てないといけませんから、
普通の患者さんの家計は破綻してしまいます。
病気を治しても財政的に破綻してしまう
というような患者さんを作っていいのかというと、
お医者さんは悩ましいでしょう。


■今後の方向性
患者さんは混同診療の保険適用部分全部に保険がきけば
嬉しいことになるのですが、
今後の方向性としてはどうなっていくのでしょうか。
混合診療の保険診療部分には保険を適用すべき
という東京地裁の判断が、
これから、東京高裁や最高裁に認められれば、
厚生労働省としても、
ある程度司法の判断を認めざるを得なくなる
と考えられます。
それまではきっと厚生労働省もがんばり続けるでしょうから、
総理大臣が動かない限り、
あと一体何年かかるのか分からないという状況です。
東京地裁の11月の判決、
今後控訴と言うことで、
その行方も気になるところですが、
私個人としては、これから混合診療の
全面解禁の方に向かえばいいと思っています。

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