2008年01月30日 08:00
アジアのロジスティクス連携 (国際経営・国際ロジスティクス/星野)
■第3回アジア発展会議の開催
昨年の11月中旬に、北九州市と
(財)国際東アジア研究センター(ICSEAD)
の主催により、第3回アジア発展会議が
開催されました。
この会議は、アジアにおける
創造的かつ協力的な
都市間協力ネットワーク形成の
方向性を探ることを目的としたものです。
「東アジアにおけるロジスティクスと相互連携」
というセッションに、
私もコメンテーターとして参加しました。
セッションの中で行われた台湾、韓国、日本の
研究者によるプレゼンテーションは、
いずれも非常に興味深いものでした。
このプレゼンテーションの内容について、
ご紹介したいと思います。
■台湾の研究者からの指摘 -ロジスティクス機能の集積効果の重要性-
台湾の研究者は、
台北の蒋介石国際空港とそれを包括する
桃園県の物流関連施設の集積を例にとり、
ロジスティクス機能の立地的な集積の重要性
について説明しました。
港湾や空港や鉄道の駅は、
単独で存在するだけでは
単なる通過点に過ぎません。
しかし、それらが
相互に有機的に結合され、
その周辺に物流関連施設が
集積して立地することによって、
効果的な物流が可能になるという
考え方です。
例えば、
九州を東西南北に移動する
交通の要所である鳥栖周辺には、
多くの企業が物流施設を設置しています。
こうした物流施設の集積した立地により、
九州全体の物流をカバーできると考えられます。
鳥栖は内陸部に位置していますが、
さらに空港や港湾へのアクセスが容易になれば、
高速道路の利便性を国内の九州の物流だけでなく、
航空輸送と海上輸送による
アジアの物流につなげることも可能でしょう。
また、北九州市も物流施設の集積が
図られている地域のよい例です。
昨年3月に開港したばかりの
24時間空港である新北九州空港、
大水深・高規格のひびきコンテナターミナル、
JR貨物のターミナル、
アクセスの良い高速道路網など、
ロジスティクスの施設が自己完結的に
北九州に整ったことになります。
次の課題は、
これらのインフラストラクチャーを、
いかに有機的に結合させて、
スムーズなリンクとノードを実現するか
ということだと思います。
■韓国の研究者からの指摘 -アジアにおける海事クラスター整備の可能性-
韓国の研究者からは、
アジアにおける海運関連産業などの
ロジスティクス・クラスターの集積度合いの
高さを活かし、アジアの中で広く連携できないか
という指摘がありました。
クラスターとは、関連する産業の集積により、
競争関係と協力関係の中から、
様々なイノベーションを生み出すという考え方です。
例えば、韓国、日本、中国の造船業なくして、
世界の海運業は成り立ちません。
また、世界で最も貨物の扱い量の多い
上位3つの港、シンガポール、香港、上海が
東アジアには存在します。
これらのことを踏まえると、
東アジアにおける海事産業の集積が、
世界のトレードを支えていることになります。
東アジアの海事産業が、
より緊密な関係をもてば、
新たなイノベーションを創出できるのではないか
と考えられますが、現在のところ、
うまく有機的に繋がってはいない状況にあります。
これまで、一国の単位での
海事クラスターは整備されてきました。
典型的な例として、
「マリタイム・ロンドン」と呼ばれる英国の
海運、金融、保険、ブローカー、港湾、海事法、
石油などの関連産業の集積を生かす仕組み
を挙げることができます。
また、オランダやノルウエーなど
北欧の諸国でも本格的に取り組まれています。
日本でも、国土交通省を中心に
近年「マリタイム・ジャパン」という研究がされています。
しかし、国境を越えて海事クラスターの仕組みを
整備したという例はありません。
今後、それをアジアという
広域において実現しようという構想は
非常に興味深い考え方と思います。
ただし、残念ながら、
これらのクラスターを活かすどころか、
韓国、中国、日本にはいまだに貿易障壁が
存在することが指摘されていました。
例えば、日本と中国、
日本と韓国の間の輸送には、
高速フェリーなどの
良いサービスが設定されていますが、
やはり国内の輸送と違って、
国際間の輸送に伴うバリアが存在します。
北東アジアを中心とする活力を
成長に繋げるには、
シームレスなトレードに向けた
障害の除去が必要であると考えられます。
十分に成長を遂げてきた東アジアですが、
これからさらに発展する余地は残されています。
地域内および他地域との貿易の促進のためには、
ロジスティクス機能の充実が求められています。
複合一環輸送=インターモーダル輸送を通じて、
北東アジアにまたがるサプライ・チェーンを
さらに促進することもそのひとつです。
そのためには、
アジアの海事クラスターの集積であり、
立地優位性の向上、
あるいはさまざまな制約条件の除去が
必要になってくるでしょう。