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2008年04月11日 08:00

サブプライムと株価下落 (財務戦略/村藤)

サブプライムローン問題の影響により、
株価の下落が続いています。
今回はこの問題について
お話ししたいと思います。


■ストックとフローの問題
まず、株価の下落については、
ストックとフローの2つを区別して
考える必要があります。
株価は、ものすごい勢いで
上昇と下落をします。
日本の株価総額は、
バブル発生期の
1986年には300兆円でしたが、
その3年経った段階の1989年には、
約900兆円に達しました。
3年で600兆円の上昇ですから、
1年あたり200兆円も
株価が上がったことになります。
その後、1990年と1992年に暴落し、
ITバブルの発生と崩壊を経て、
2007年7月の段階では
時価総額で約600兆円でした。
それが、2008年の3月半ばでは
約400兆円ですから、
200兆円の下落が生じています。


世界の株価総額は、
2007年末で約6,000兆円です。
この値は、
世界49の株式市場の証券取引所に
上場する株式の時価総額を
合計して算出したものです。
6,000兆円というのは、
全世界のGDP5,000兆円よりも、
さらに2割ほど大きいことになります。
サブプライム問題で
世界の株式市場は暴落を続け、
2008年2月初めに
トムソンフィナンシャルが
52カ国の上場企業時価総額の
試算をした結果、
減少額は650兆円に上ったようです。


連邦準備銀行やIMF(国際通貨基金)が、
日本では数千億の損失、
世界では数十兆円の損失が
見込まれるという発表を行っています。
しかし、実際には、
その200倍くらいの額の損失を
ストックで被っています。
先日説明した
国際会計基準の採用によって、
この損失は次第に、
損益計算書に表れてくるため、
株価が下落したままでは、
数十兆円の損失がいずれは
100兆、200兆に上る可能性があります。


■アメリカ景気の見込み
アメリカの経済成長は、
急激な減速を示しています。
2007年10-12月の
実質経済成長率は0.6%でした。
消費や住宅を中心に、
ほぼ全面的に
経済活動が下向きになっており、
原油価格の高騰による
インフレも出始めています。
これに対し、ブッシュ大統領は、
FRB(連邦準備制度理事会)の
金利引き下げのみに頼らず、
個人への戻し減税や
企業向けの設備投資減税を柱とする
1500億ドルの景気対策を打ち出しました。
個人の戻し減税額は、
1人あたり600ドル、
夫婦1組では1,200ドルであり、
国民の4割を超す約1億3千万人に
恩恵が及ぶ予定です。


しかし、こうした対策によっても、
景気回復は難しい状況にあります。
当初は、サブプライム問題と
呼ばれていましたが、
サブプライムだけでなく、
トリプルAの格付けを持つ
住宅ローン証券の価値が
4~5割下落してきています。
これは非常に深刻な問題です。
サプライムローンの残高は
100兆円ほどですが、
住宅ローン市場全体の規模は
1,000兆円と約10倍の規模です。
3月の半ばに
カーライル系のファンドが
解散に追い込まれました。
このファンドの保有資産のうち、
99%がトリプルAの
住宅ローン証券であったため、
大変な騒ぎになったのです。


■モノライン問題
その中で、モノラインという
日本人には新しい言葉が
登場してきました。
モノラインとは、
証券化商品を含む債券の保証に
特化した保証会社のことです。
アメリカ地方債の約5割、
証券化商品の約2割が
モノラインの保証を利用しています。
代表的な会社として、
MBIA(もとMunicipal Bond Investors Assurance Corporation)、
アムバックフィナンシャル、
FGIC(Financial Guarantee Insurance Company)
などがあります。
モノラインは
トリプルAの格付けであることが
重要だったのですが、
この格付けが引き下げられています。
例えば、2月にムーディーズは、
FGICをトリプルAからA3へ
6段階格下げしました。
保証がつかなくなれば、
誰も証券を買わなくなるため、
螺旋的な問題の悪化に繋がっています。


■FRBの金利対応の限界
FRBは、
短期金融市場の操作目標である
FFの誘導目標金利を、
2007年9月から6回引き下げ、
現在は2.25%にしています。
また、
金融機関向けの貸出金利である
公定歩合も8回引き下げ、
現在は2.5%になりました。
インフレが3~4%ありますので、
アメリカは実質的には
ゼロ金利の状況です。
株価が回復しないため、
金利を何度も下げた結果、
これ以上下げられない
水準に達しましたが、
それでも効果がみられず、
手詰まりになっています。


■ベア・スターンズ問題
最近では、ベア・スターンズ問題
というものが起こりました。
ベア・スターンズの
株価が急激に下落し、
連邦準備銀行が
JPモルガンを通じて
資金を回すことになった途端、
その2日後、
ベア・スターンズの
経営危機が深刻なため、
JPモルガンが
資金を貸し出すのではなく、
救済買収をすることになりました。
その買収額は、
その後一株当たり10ドルに
引き上げられましたが、
当初は1株あたり2ドルでした。
ベア・スターンズの株式は、
つい先日まで1株あたり
60~70ドルであったため、
大騒ぎになりました。
この先、第2、第3の
ベア・スターンズが出てくる
可能性は高いと思います。


■政府出資による救済と日本の金融機関
日本ではバブル崩壊後の
金融危機のときに
金融機関の救済のために
政府が金融機関の自己資本に
出資するということが起こりました。
アメリカ政府は、
日本のトラブルを見てきたので、
アメリカの金融機関の自己資本に
政府が出資するようなことは
回避しようとしています。


日本の金融機関は
あまり証券化投資に
参加させてもらえなかったので
欧米の金融機関に比べて
損も少なかったわけですが、
一番格付けが高い
トリプルAの証券が
駄目だという話になれば、
時間の問題で
大きな損が出てくることになる
と思います。

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