BBIQモーニングビジネススクール > ホームレス問題(1)(国際経営・国際ロジスティクス/星野 裕志)

2009年03月09日 10:00

ホームレス問題(1)(国際経営・国際ロジスティクス/星野 裕志)


経済情勢がますます悪化している中で、
企業の生産計画の見直しや非正規労働者の
雇用の見直しが進められています。
派遣切りといわれる派遣社員の雇用の中止により、
職を失い、住む場所を失う人たちの増加が懸念されています。
今日と明日の2回は、
専門分野の国際経営・ロジスティクスからは離れますが、
個人的に問題意識を持って取り組んでいる
ホームレス問題についてお話したいと思います。
特に今日は、異常事態ともいえる福岡の現状をお話して、
明日はどのような対策が考えられるかについて
考えを述べたいと思います。


■ホームレスとは

「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」によると、
ホームレスとは「都市公園、河川、道路、駅舎その他の施設を
起居の場所として日常生活を営んでいるもの」と定義されています。
また最近ではインターネットカフェなどで
生活している人たちの中にも、
「ネットカフェ難民」と呼ばれて、
ほとんどホームレス状態に近い
ニア・ホームレスとして社会問題化しています。


■ホームレスの実態

このようなホームレスの実態については、
毎年1月に厚生労働省によって
全国調査が行われていますが、
昨年1月の調査結果では、
6年前の2003年に比べて
大幅な減少が見られました。
全国で25,296人から16,018人と
37パーセントも減少したことになります。
今年の概数調査はちょうど終了したところで、
現在全国で集計中ですが、
逆に大幅に増加すると見られています。

そのように昨年までは
全国的に減少傾向にある中で、
政令指定都市としてホームレス人口が
増加していたのは、横浜と福岡の2都市だけです。
全国でもっともホームレスが多い都市は、
大阪の3,647人、続いて、東京の3,436人ですが、
福岡は全国3位の782人という都市の規模からすれば、
大変なホームレス人口を抱えていることになります。
さらに福岡の次の4位は横浜、5位は川崎と
それぞれ600人台ですが、これらの特徴を見ると
福岡を除く4都市が、日雇い労働者の簡易宿泊所の
集まるいわゆるドヤ街があることがわかります。
例えば、大阪の釜が崎辺りは、
800円もあれば一泊泊まれるような
ところがある地域なのです。
しかし、福岡は、そうではありません。
ドヤ街がない福岡にこれほどのホームレスが
集まっていることは、まさに異常な事態といえるでしょう。


■ホームレスが集まる理由

福岡の782人の6割程度が、
福岡市の外から来た人たちのようですが、
なぜ福岡にはこれほどのホームレス人口が
あるのでしょうか。
実態をなかなか正確には捉えることが困難ですが、
おそらく福岡は「そこそこ」豊かであったから
ということがいえるのかもしれません。
九州の中核都市であり、すみやすい都市として
世界的にも注目をされるくらいに
都市機能としても充実していて、
それこそ廃品の回収や仕事にありつける機会も
ある程度はあったということかもしれません。
ただ昨年までは活況を呈していた製造業の
中心都市として、名古屋ではこの5年間で
ホームレス人口が3分の1に減少したようですが、
福岡では実際に吸収するほどの雇用が
発生するようなことはなかったということは
いえるかと思います。
そこが「そこそこ」豊かという理由です。


■福岡のホームレスについて

福岡の実態について少し見てみると、
全国的には、河川敷や公園にそれぞれ
全体の3割ずつが寝起きする中で、
福岡の特徴は全体の約半分が公園に住むことであり、
全国平均の3パーセントに対して、福岡では
女性の比率が7パーセントと高いことが特徴です。
何故、公園に集まるのかは、よく分かっていません。
他の都市のような簡易宿泊所がない
という理由も、もちろんあると思います。
福岡市内の子供の遊ぶ公園に、
かなりしっかりした小屋が建てられているのを
目にすることも珍しくありません。
街でも大きなビニール袋に空き缶を入れて
自転車で運んでいる光景を目にすることが多いですが、
空き缶の回収といった仕事や日雇い労働を
見つけて生活をしているようです。
福岡市の調査によると、福岡のホームレスの人たちの
約半数が健康に不調を訴えており、その7割が
治療などの医療行為を受けていない状態にあります。


■身近なホームレス問題

年末年始の東京の日比谷公園の
「年越し派遣村」や派遣切りの報道を
最近は耳にすることも多くなってきましたが、
リスナーの多くの方々は、少なくとも最近までは、
ホームレス問題は比較的に遠いところで起きている
と考えられていたのではないかと思います。
僕自身もいろいろと実態を見るまでは、
縁遠いことと思っていました。
ただいろいろと実態が明らかになるにつれ、
それは非常に身近な問題であることを
意識せざるを得ませんでした。

福岡市内のホームレスの平均年齢は、
50歳台後半であり、ホームレス状態になるまでは、
そのうちの4割が正社員として常勤の仕事に
就かれていたようです。
それが勤務する会社の倒産や仕事が減って
解雇されたり、病気や怪我や年齢で
仕事ができなくなったり、家庭の事情で
家を出ることになったことが、
ホームレスになるきっかけになったようです。

50歳を過ぎて、突然仕事を失ったときに、
おそらく簡単には次の仕事は見つからないかもしれません。
このような100年に一度ともいわれる不況の中で、
ホームレスは非常に身近で、緊急に
解決しなくてはならない社会問題です。
今後街で見かけることも増えてくるかと思いますが、
私たちの住む町で起きている重要な問題
という意識は誰もが持つ必要があります。

MP3をダウンロードする

前の記事へ 次の記事へ


ブログ&ポッドキャスト検索

ページの先頭へ戻る