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2006年09月08日 08:20

北越製紙と敵対的買収 (村藤/財務)

ここのところ色々な買収合戦が続いていますが、最近注目されたものの一つに、
王子製紙による北越製紙の TOB がありました。


■ 変化する敵対的買収への見方

今回、製紙業界の最大手王子製紙が、北越製紙に無理矢理 TOB をしかけました。


これまで日本は、敵対的な買収というものは文化的に馴染まないと言われてきました。
しかしながら近年、敵対的買収をタブー視する風潮は弱まってきています。


これまで敵対的買収の主体となってきたのはファンドや新興企業でした。
しかし今回、王子製紙という日本を代表する企業に、さらに野村證券のような
大手證券が味方して 敵対的TOB を始めたので、
人々は、あるいは何か変わるのではないかと考えました。
ただし、結果として王子製紙のTOBはうまくはいきませんでした。


■ 王子製紙が敵対的TOBに踏み切った事情

当初、王子製紙は敵対的TOBを行うつもりはありませんでした。
しかし、三菱商事が北越製紙の第三者割当 を行うという話を聞きつけ、
これは止めなければならないということでTOBの実施を発表しました。


これによって三菱商事を説得できると考えていたようですが、
結局第三者割当が正式に発表された為、王子製紙は敵対的TOBに踏み切りました。


三菱商事にとって王子製紙は顧客ですが、三菱グループもまた王子製紙の顧客です。
そのため、王子製紙としては業界6位の北越製紙に対しては強気に出られても、
三菱商事にはそう容易に強気には出られないという事情があったようです。


■ 北越製紙の新工場建設

北越製紙は約550億円というお金を投じて2008年に新しい工場を作るという話をしています。
この新工場が非常によいものだということで、みな北越製紙を欲しがったわけです。


しかし、問題の実際の焦点は、北越製紙の新工場が技術的に優れている
ということにあるのではなく、そのような新工場を各企業が作ってしまうと、
ただでさえ市況が悪いのにも関わらず、さらなる供給超過によって
価格が破綻してしまうというところにありました。


その場合、一番痛みを伴うのは、一番大きい王子製紙なのです。
王子製紙はこれを打開したかったのです。
実際、王子製紙は3年ほど前から北越製紙に対し設備投資自粛の
要請を行ってきました。


■ 北越製紙の株主の選択

既述のように、王子製紙の北越製紙株の公開買い付けは失敗に終わりました。
つまり、王子製紙のTOBに対し、5割を超える北越製紙の株主らが応じなかったということです。
しかしこれは、必ずしも株主がはじめから北越製紙を守らなければならない
と考えたからというわけではないと思います。


最初は結構様子見だった人も多かったと思うのですが、王子製紙のTOBに対しても、三菱商事が
全く揺るがずに第三者割当を引受け、株式保有率を24.4%としました。


さらにその後、驚くべきことに業界2番手の日本製紙が出てきて、8.9%もの株式を購入しました。
通常、企業が大きな決定を行う時には株主の3分の2の賛成が必要となります。
三菱商事と日本製紙の株式を合計すると約33.3パーセントになりますから、
この二社が何か反対すると何も出来ない状態となります。


この時点で勝負は決まりました。


そうして株主はみな勝ちの決まった三菱商事と日本製紙に群がり、
結果としてTOBに応じない比率が50%を超えたということだと思われます。

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