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2006年10月05日 08:20

欧州の産学連携機関(2) オランダ TNO (産学連携/高田)

 前回、欧州の産学連携機関として、
ベルギーのIMEC(アイメック)という
機関を紹介しましたが、今週は
オランダのTNOという機関について
紹介していきたいと思います。


■ TNO

 TNOは1930年に、オランダの
国の法律に基づき設立されました。
このTNOという機関は、設立当初から
政府から完全に独立した運営が行われています。
(政府はオペレーションをコントロールしません。)


 この機関は約5,000人ものスタッフを抱え、
オランダ国内数カ所に拠点を持っています。
予算規模は約800億円ですが、
先週紹介したベルギーのIMEC同様、
その3分の2は民間企業から獲得しています。


 この機関が一体何を研究しているのか
ということについてですが、非常に幅が広く、
材料やLSI、それからバイオや環境技術、
あとはオランダ政府からの委託で
軍事技術などの開発も行っています。


 このTNOの活動を要約するならば、
民間企業では手が出ない基礎的な技術を
実用化レベルまでレベルアップし、
民間企業が手を出せる状態になったら
技術移転を行う、ということになるでしょう。


■ “デモンストレーション”

 TNOの人と話をすると、“デモンストレーション”
という言葉を何度も耳にするのですが、
これは、技術がモノになるかどうかを
証明してみせる、ということを意味します。


 大学の基礎研究というものは、
原理を解明しただけのものが多く、
それを企業がそのまま事業に結びつけるには
ギャップが大きすぎます。このギャップは、
最近ではよく「死の谷」などと揶揄されています。


 これに対し、TNOは応用開発を行って
自ら試作品を作るなどして、
“実際に使える技術である”ことを
証明する活動を行っています。
この意味でTNOは“デモンストレーション”
という言葉にこだわっているのです


■ 自らベンチャーを創出

 TNOはベンチャーの創出にも熱心で、
これまで約50社を設立しています。


 パートナー企業がいれば、自分達が
“デモンストレーション”をして、
「これを使って下さい、実用化して下さい」
といったプロモーションも出来るのですが、
たとえば企業がその技術の重要性や
価値などに気づいてくれない、実用化してくれない、
あるいはそもそもパートナー企業が見つからない、
などといった状況に陥った場合は、
開発した技術をそのまま眠らせるのではなく、
自らベンチャー企業を創って
事業に結びつけるということも行っているのです。


 こうしてできたベンチャー企業ですが、
TNOが保有するそれらの企業の株式時価総額は、
今や何と約100億円
にも達するまでになっています。


■ 日本との比較における欧州の産学連携機関の特徴

 2週に渡って解説した欧州の産学連携機関の特徴を、
特に日本との違いに着目して述べるならば、
以下の三つを挙げることができるでしょう。


 第一に、産学連携を進めるために、
大学と企業だけでなく、その間に
TNOやIMECのような第三の機関
があり、
「死の谷」を乗り越える仕組みを
しっかりと構築しているという点です。


 第二に、このような機関は、
予算の半分から3分の2程度は
民間からの業務委託で稼いでいる
ということです。


 第三に、国や地方政府が、このような
産学連携機関の必要性や位置づけを明確にして、
しっかりとサポートしている
点が挙げられます。


 日本でも産学連携が叫ばれて久しいですが、
欧州のように、大学でも企業でもない、
第三の機関を中心とした産学連携は
大いに参考になるのではないかと思われます。
我国における産学連携の発展を願いつつ、
今後の動きに引き続き注目していきたいところです。

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